【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー

永瀬ひなたは本当に面白い女だと思う。

容姿は普通。細身だが、胸だけがやたらとデカい。 しかし俺は知っている。 君がその胸以上にでっかい心を持っている事。

するりと俺達の生活に入ってきて、いつも間にか馴染んでしまった。 もう誰も好きにならない。誰とも本気の恋愛はしない。そんな頑なだった俺の心へ入り込んできた君の愛情はとても柔らかい。

「いらっしゃいませ。あ、小鳥遊さん。ご注文の商品は用意しています。
いつもありがとうございます」

「こちらこそありがとうございます」

都内の花屋でミニ向日葵の花束を受け取る。

鮮やかな黄色の花は、今日も上を向いて凛としており、見ているこちらまで元気になっていくようだ。

向日葵が亡くなってから、この花を枯れさせる事はなかった。 それは向日葵をずっと忘れない為。

ずっと忘れる事なんて出来ない。だけど君との思い出を抱えたまま、ひなたと幸せになってもいいだろうか?

君を幸せに出来なかったこの俺が、また誰かを幸せにしたいと思ってもいいのだろうか?


答えは分かっている。 最後まで俺と陽向の心配ばかりして、笑顔を絶やさなかった強い女性だ。

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