【完】#ただいま溺愛拡散中ー あなたのお嫁さん希望!ー

それにしても解放感のあるオフィス…!会社っていうよりかはお洒落なデザイナーズマンションみたい。

大層なガラス張りの来客室のような所に案内された。 カタンと透明の扉が開いたかと思えば、黒のパンツスーツを着こなすウェーブの髪が長く綺麗な女性が入って来る。

私を見てにこりと笑って、お洒落なティーカップに入った珈琲を差し出す。

首に掛かる社員証には「夏村」と書かれている。…なんて綺麗で大人っぽい人だろう。しかも仕事も出来そう。思わずポーっと見とれてしまう。

「ありがとうございますッ!」

受け取った珈琲を一気に口に含むと熱すぎて蒸せる。

「ゴホッ、ゲホッ!」

そんな私の様子を見てその夏村さんと言う女性はクスクスと口元を押さえて笑う。

「アイスコーヒーの方が良かったかしら?」

「いえいえ滅相もありません!涼しいので丁度良いです!」

なんて、こんな気後れしてしまいそうなオフィスに足を踏み入れて、背中には汗がだくだくなのだが…。

「小鳥遊社長は今会議ですので、もう少しお待ちくださいね。」

にこりと微笑む彼女の唇、上品だけどラメが散らばった綺麗なベージュのリップ。

カサカサの自分の唇がちょっぴり恥ずかしい。 はぁいと返事をして、ガラスの向こうのオフィスを見つめる。

解放感のある空間で、誰も彼もがパソコンに向き合っている。こうやって見ると圧巻!都会のオフィスって感じ。働いている人も洗練されて見えるから不思議。

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