夏と君は絶対に大嫌い





「――は、何やってんのアンタ」



「お前こそ何やってんの?こんな炎天下の中一人でプール掃除とか、頭沸いてんの?」




やっぱりムカつく奴。




「しゃーないでしょ、他の係の子、みんな部活とかで忙しいって言うし。私は何を隠そう、帰宅部のエースですから!」



「バッカじゃねーの」




不機嫌そうにフンッと鼻を鳴らす奴。いやそこは笑えよ。笑ってくれよ。




「ほんっと昔から変わんねー、バカみたいにお人よし」






ジャプジャプと水音をたてて近づいてきた奴が、




私の手から乱暴にデッキブラシを奪う。





「非力なお前じゃあと一週間はかかるだろうから、ここは俺様が華麗に一瞬で終わらせてやるよ」



「え、なにまさか…手伝ってくれんの?」




「うっせーな!お前がチンタラチンタラ掃除してんのが見えて虫唾走りすぎて練習に集中できねーんだよ!」




ん、と奴が顎で、グラウンドの方を示す。



奴は陸上部。





「お前が視界に入ると練習に集中できねー」



「とか言ってほんとはサボりたいだけでしょ?」



「ゴチャゴチャ言ってねーでお前はタワシでもこすってろ」





そう言ってタワシを投げつけてきた。



女子にタワシを投げつけるとかやっぱり嫌いだわ。





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