今日から不良王子と同居します。
玲生くんのお兄さんと名乗るその人はやけに早口だった。大人の男の人の声だったから、年が離れているのかもしれないなって思った。


「いいえ、あの、玲生くんはまだ学校からは帰っておられないので」


「……本当ですか?隠しているんじゃありませんか?」


まさか、こんな返事が返ってくるとは思わなくてちょっと驚いた。


「は?どうして隠す必要があるんですか?」


「いや、玲生から頼まれているのかなって。玲生が家を出ていったことを僕だけが知らなくて。父も行く先を僕には教えてくれなかったから、かなりいろいろと手を尽くして探して、ようやくそちらにいることが分かったんです」


「はあ」


行く先を知らされていないって家族なのにどうしてだろう。


どうしよう、この人って本当に玲生くんのお兄さんなのかな。


急に不安になったので、警戒しながら尋ねた。


「あの、お名前は?」


「玲生の兄の正道(まさみち)といいます」


「……」

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