今日から不良王子と同居します。
「いや……それは」


彼は私に答えるのを躊躇しているみたい。
だからますますそれを知りたくなる。


「教えてくださいませんか?お力になれるかも」


「はあ、ええっと、実は玲生に言ったのは……いなくな……いい……って」



彼の声は弱々しく小さくなってしまい聞き取りにくかったので、もう一度尋ねた。


そしたら、信じられない言葉が耳に飛び込んできた。


「お前なんていなくなればいいのにって。僕の目の前から消えてくれって」


「えっ……」


サクッと胸にとげが刺さったようなそんな気がした。


一瞬、玲生くんの顔が浮かぶ。


車の中で、初めて神崎家の話をした時の不機嫌そうな、それでいて悲しい顔。


「そんなことを言ったんですか?ひどくないですか」


気が付けば、文句を言ってしまっていた。


お兄さんの力になるなんて適当なことを言ったくせに。
だけど、こんなことを聞いてしまったら話が別だよ。


こんな人の味方なんてしたくないもん。


「もちろん本心ではありません。いろいろあって……」

< 103 / 373 >

この作品をシェア

pagetop