今日から不良王子と同居します。
根拠はって聞かれたらあるようなないような、ただの私の勘。


おずおずと見上げたら青い瞳は困ったように揺れていて。


「……そう」


ガックリうなだれた彼は私の手を引っ張っていき自分のベッドに座らせた。


「音葉さんには、俺ってそんな風に見えるんだ」


ポツリと漏れた彼の独り言。
そして隣に座ってあきらめたようにちょっと笑った。


「どんなことから話そうか」


だけど、心にまでしみるような、優しい笑顔。


それを見た途端にホッと胸を撫でおろした。


私は、嬉しくなって前のめりに勢い込んで言った。


「あのね、なんでもいいから玲生くんのことを教えて」


彼は目を見開いてそれから少し照れたように瞳をさまよわせる。


「じゃあ、音葉さんのことも俺に教えて、どんなことでもいいから」


目が合うと、優しく微笑みあっっていた。


それから、彼といろんな話をした。


くすっと笑い合えるような、どうでもいい話。


これまでの辛かったことや悲しかったこと、そういうんじゃなくて。


自分が笑顔になれるような、そして彼の頬が緩むような。


そんな他愛もない話を、夜が更けるまで。

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