今日から不良王子と同居します。
「私もだよ」


その手を握って私もぎこちなく笑う。


彼は何にも悪くないのに謝らせてしまっていることが申し訳ないなって思った。


「私、直政くんのことちゃんと考えてるよ、だから」


「うん、わかってる」


彼は切なそうに瞳を細めたように見えた。


「先は長いから、ゆっくりやっていこう」


「うん」


だけど優しく言ってくれたので少しだけホッとする。


やっぱり彼は大人だなって思う。


私の嘘を見抜いていて、それでもこれ以上は責めたりしないんだ。


きっと凄く嫌な気持ちにさせてしまっているはずなのに。


そんな彼をこれからはもっと大切にしなきゃいけないなって思った。


「音葉……」


彼は私の名を呼んで、繋いだ手を強くひっぱる。


あっ、て思う間もなくその逞しい胸に抱きよせられた。


身体がこわばって緊張する。


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