俺の宝物は、お前の笑顔。

健二side


宗馬には勉強教えろって言われるし、夏祭りもあるし、夏休みってもんは全然休めない。


しかも宗馬に勉強を教える時には、星野と久保田も一緒だったし。


夏祭りに行ったら、またもや星野と久保田と遭遇するし。


そのまた袖川は、怪しい男たちに絡まれて星野が助けに行くから俺も強制的について行かないといけないことになるし。


夏って、こんなに体力と精神をすり減らしていくような季節だったっけなー。



「いやー、濃い1日にはなったよな」



夏祭りの帰りに、隣を歩く宗馬が笑顔で言った。


さっき、袖川に絡まれた男のことをもう忘れてるような調子だ。



「いろんな意味でな」



「お前その顔どうした?」



「いや、なんつーかさ……。お前こそ、なんでそんな笑顔なんだよ」



「せっかく楽しい祭りにも参加できたろ?」



「そうじゃなくて、さっきの怪しい男たちのことに関してはなんも思わねーの?」



「あぁー、まあスリルあったじゃん? 学校でモテモテな女の子を救うって、ヒーローになった気分じゃんか!」



すんげーポジティブだな、そういうところはマジ尊敬するわ。


……なりたいとは思わねぇけど。




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