吸い込んで、夏。



「ばあ」



これだから千代田(ちよだ)は。



「心臓、飛び出すかと思った」

「飛び出したら焼いて食べたげるね」

「やだよ。千代田、ほんとにやりそうでよけいやだ」

「やんねーよ」



ケタケタと笑っているこの男、だいぶツボが低いらしい。



上月(こうづき)が見えたから、つい」

「つい、でひとを脅かすひと、はじめてだよ」

「上月のはじめて?よっしゃあ」

「皮肉ってるんだけどね」



道を歩いていたら、突然、家を囲んでいる塀から生首が現れたのだ。



しかも、ばあ。なんて言いながら。


< 1 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop