死にたがり屋の少女は暴走族と・・・Ⅰ
「ったく…心配かけんなよ。それにしても…お前すごいな。」


なんて思ったことを言うと女は首をかしげた。


「あんなに高いところから飛び降りてよくかすり傷ぐらいですんだな。」


きっと運がいいんだな。


そんなふうに思っていた俺の考えとは違って女は


「やっと…死ねると思ったのに…このザマか…」


なんて言った。


そんなに死にたいのか?


そう思っていると女はじっと俺を見て


「あんた怪我してんじゃん。」


少し驚いたような顔をして言い出した。


それを言うなら…


「いや、それを言うとお前も怪我して「いいから手出して。」


女は俺の話も聞かずに手を手当する。


「巻き込んで悪かったわね。あんたは帰りなよ。」


帰れって言われても…


こいつ1人にしたらどうせまた死に場所を探すとか言い出すんだろう。


そうなるくらいなら…


「待てよ。」


「ん?何よ。」


「俺の家に来いよ。どうせ今日も行くところないんだろ?」


そして女は"行くわけないでしょ"とでも言おうとしたのだろう。


でも俺はお構い無しに


「着いてこい!!」


女の手をとった。


なんでそんな事したかなんて分かるわけない。


でも…


こいつを1人にしたらダメな気がした。


そう、俺の勘が俺に訴えていた。

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