死にたがり屋の少女は暴走族と・・・Ⅰ
なんていつもとは違う口調で言った。


そして男たちを睨み、


美月を見て


「すぐに終わらせるから。これでも着てて。」


と蒼弥は自分の上着を私に投げた。


「えっ…?」


私はよくわかっていなかったが


私の服は所々切れていて、中のキャミソールが丸見え状態だったらしい。


「前…隠しなよ。」


と蒼弥は私に言い、男たちの元に歩いていった。


前?前隠せって…


なんて自分を見ると…


「っ…/////!!」


と赤面し、慌てて蒼弥の上着で前を画した。


恥ずかしぃ!!


まさか…こんなに服がボロボロになってたなんて…!!


だから蒼弥はさっきから私と目を合わせなかったんだ!!


なんてチラッと蒼弥を見るも、


蒼弥が私の視線に気づく気配はない。


だって…


「おい、もう終わりか?」


「美月を傷つけた責任取れよ?わかってるよな?」


なんて男たちをずっと殴っている。


さすがにヤバくないかな?


しかも


さっきから私の事…呼び捨て/////…


まぁ、みんな呼び捨てで呼んでるけど…


なんか慣れないというか…何と言うか…


蒼弥は今まで私の事"ちゃん"付けで呼んでたし…


なんてあれこれ思っていると


「美月?」


なんて蒼弥はこっちに近づいてきて私の名前を呼んだ。


「っ…」


また呼び捨て…!!


なんか雰囲気がいつもと違う…


なんて思っていると


「良かったぁ〜。」


なんて目の前で蒼弥がしゃがみこんだ。


「えっ?!だ、大丈夫?!」


なんて急にしゃがみこんだ蒼弥にビックリし、近寄ると


「ストップ!!俺は、大丈夫だから!!」


なんていつもの蒼弥だった。


「俺の心配より美月ちゃんは自分の心配しなよ…。」


「まじであの時焦ったんだからな。」


なんて私の心配をしてくれている蒼弥。


「…蒼弥、ありがと//////。助けに…来てくれて…」


本当にありがと。


蒼弥が来てくれてなかったら…


今頃、私は…


なんてまたさっきのことを思い出す。


「…って美月ちゃん?!大丈夫?!どこか痛いの?!」


なんて蒼弥が慌てて聞いてくる。


「あれ?なんで涙が出てくるんだろうね?」


なんでなんだろ…


「急に泣かれたら迷惑だよね…ごめんね。すぐに泣き止むから。」


涙を隠そうと蒼弥に背を向けようとした時だった。


「待てよ」


「っ…!!」


ガシッと肩を捕まれ


気がつけば私は蒼弥の腕の中だった。


「へぇっ?」


な、何?!い、今…何が起こったの?!


私の頭の中は混乱だらけ。


「…泣きたい時は、泣きたい時だけは泣けよ。」


その声はさっきの、男たちを殴っている時と同じ声のトーンで、同じ喋り方。いつもと違っていた。


「俺しか見てないから。好きなだけ泣けばいい。」


ずるいよ…


そんなこと言われたら…


涙…止まらないじゃんか…


「うっ、ゔゔっっ…」


あの後ずっと蒼弥の腕の中で泣いていた。


「…蒼弥…ありがと。本当に…ありがと//////」


なんか…本当に迷惑かけたな…


「別に俺は…!!」


「美月ちゃんが無事ならそれでいいよ!!」


気がつけばまたいつもの蒼弥に。


蒼弥は二重人格なのかな?


なんて私は思い、蒼弥に聞くと


「それは…そのぉ…」


なんて蒼弥がオロオロしていると


「こいつ、普段猫かぶってんだよ。」


聞き覚えのある声が。


「璃羽都!!」


「なんか酷くね!!俺、猫かぶってねぇーし!!美月ちゃん違うからね?ね!!」


なんて蒼弥が美月に言いよる。


「…」


いつもの蒼弥だ。


それに…


なんて考えていると


「美月!!」


息切れして私の名前を呼ぶのは


「っ…未雨!!」


未雨…。


「美月…無事で、無事でよかった…」


未雨は私に抱きついてきた。


「本当に良かった。美月のバカ。」


未雨…


私、未雨にまで心配かけちゃったんだ…


「未雨…ごめんね…ごめんねぇ。ありがとぉ〜」


私は未雨をさらに抱きしめた。


って、それより


「なんでここがわかったの?!」


「教室にいた人たちから聞いた。」


「そうだったんだ。って、璃羽都や、蒼弥まで本当にありがと…」


感謝を伝えると


「当たり前だろ?俺ら友達なんだしな。」


璃羽都や、


「おう。もっと頼ってくれても良いんだからな!!ってか頼ってくれよ?」


そう言ってくれた蒼弥。


本当にみんな…いい人たちだ。


なんて思っていたら


「そう言えば遥輝を教室に置いてきたけど、遥輝は大丈夫なの?」


未雨が璃羽都に聞いた。


「えっ?!遥輝も居たの?!」


「まぁーな。でも遥輝なら大丈夫だと思うぜ?」


疑問形で返す璃羽都。


本当に大丈夫かな?


遥輝まで迷惑かけたな…


「そっか。無事ならいいよ。」


未雨…やっぱり遥輝のことも心配してるんだね。


未雨が人を心配してるってことは、未雨はここにいる璃羽都や、蒼弥、遥輝を信用してるってことだよね。


なんか…嬉しいな


親友として、幼なじみとして。


未雨が信用できる人が増えて…。


もしかしたら本当にこの人達なら…


未雨を任してもいいかもしれない。


未雨を昔の未雨に戻してくれるのかもしれないな。


「美月?何笑ってんの?」


未雨に言われたが


「別にぃ〜!!」


なんて返し、笑い続けていると


「えっ?!なになに?!美月ちゃん、なんで笑ってんの?」


なんて蒼弥や


「…今、ツボるとこあったっか?」


璃羽都まで。


「あはははは!!」


幸せだな…。


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