愛は惜しみなく与う⑦

狂ってる人に何を求めても返ってこないよね


「だからお前を誘拐するだけじゃ足りない。普通に殺すだけでも足りない。憎まれてるために、目の前でお前を拉致って、目の前でお前を犯して、目の前で……殺す必要があった」


そんなこと思ってたんだね。知らなかったな…
私は何も考えてなかったんだね。ただ言われるままに動いて、サトルと一緒に居れるという事だけを信じて…


「でもお前を本当に殺すには、早かった。俺のシナリオ通り進むなら……お前を殺すのは…杏が全て知って、それでも尚、お前を心から許した時…

それは、今だと思うんだよッ！！！！」



……！！！！！
サトルが動いた

その動きがスローモーションに見える


こわい



「俺、一生お前のこと分からないわ」



え？
目の前には大きな背中

そして頭を守るように抱きしめるのはお姉ちゃん


「これ以上傷つけることはさせへん」



お姉ちゃん…泉さん…


「お前どっからそんなに武器出てくるわけ？気絶してる時に服漁ったのに」


私は目を瞑ってしまったけど、何かサトルは手に持っていたような気がした。