愛は惜しみなく与う⑦
「そうだぞ。最後にお前が俺に、優しくしようとしてくれたからそれでいい。いい思い出になった。でもこれ以上踏み込むな?俺は改心したわけでもない」
サトルはあたしと泉の話しに割って入ってくる。
そして何やら手元を触っている。
そこには時計がついている。
なんやろ
「さぁ、こういう時のために用意しておいてよかった」
嫌な予感がする
「これは時計じゃない。特別水瀬に作ってもらった。このボタンを押せば、この建物は爆発する」
淡々と話す
なにを、ゆうてるん
爆発って
「お前が来る前にここに全員おびき寄せて、爆破してやろうと思ってた。まぁ想像以上に杏が早く来たこと、こいつらが強かったから時間稼ぎができなかった。俺が逃げるためのな」
サトルは…やっぱり初めから、みんなを殺そうとしてたんやな
そしてその、爆破できてしまうボタンはサトルの手にある
「お前は優しいよ。見ていると吐き気がするほどに優しい。でも、それじゃあすぐ漬け込まれるぞ?俺なんかにも優しくしようとするんだからな。
俺は本気で、こいつらを殺すよ?外にいる奴らも、追いかけて何がなんでも殺すよ。杏は分かってないね。
もうとっくに、戻れないくらいまで壊れてるんだ、俺は」