愛は惜しみなく与う⑦
怖いのに
頭はとうに付いてきていないのに。

そう思ってしまったから。


「あなた達は守りますよ。一緒に…来てください」


志木さんは先程とはかわり、優しい笑顔を俺たちに向けた。

そうだ


杏は頑張ってんだ



俺たちが側にいてやらねーでどうする



「泉、見えるのか?」

「さぁ、開けたら痛いから開けない」

「じゃあどうやって…」


サトルとやり合うのか。そう聞こうと思ったけどやめた。なんか気配読んで気合で勝てそうだもんな。

ここまでの泉見たことないから


「俺がボーッとしてたから、悪いな」

「俺の角度から相手が見えただけだ。弟守って何が悪い」

「ば!今関係ぇねーだろ!」


泉はたまに、弟と言ってくる。いや、もうちゃんと泉の親父の息子って事になってるからさ?養子にな

泉は兄ちゃんだけど!


俺の緊張解こうとしてるのかな。そうだろうな。こんな時まで人のことばっかり



「お前のことは俺が守ってやるよ」

「デカイ口叩くな」


いて…

泉に叩かれた頭を押さえる
よし、みんなの震えは止まった


行ける
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