愛は惜しみなく与う⑦
ノリノリの店員達は、杏の情報を事細かく引き出そうとしてくる。
女はすごいよな。熱量がすごい。
「これはこれは?って言うよりも、その子に合うものをお姉さんたちが誘導してあげるよ」
「なんでもいいから好きにしろよ」
本人よりも乗り気な人たちに囲まれて、俺は少し押され気味だった。そして誘導が始まった。
「じゃ、その子はどんな子?」
「どんな子?明るくて、笑顔が可愛くて、強くて、料理がうまくて、優しくて温かくて「ストップストップ!!!」
思いつく言葉をあげていたら、ストップがかかる。なんだよ。聞いてきたのあんたらだろ。
「多すぎてまとめれないわ!」
「料理道具とかは?」
「それは普通に買ってやれる。クリスマスプレゼントにするのはなんか違う」
「値段じゃないわよ?」
「分かってる。喜ぶものをあげたいだけ。料理道具は他の奴らみんなであげる話が出てたから違う」
いつも作ってくれてるからな。
みんなで一式揃えてやろうと言う話になっていた。
「その子、趣味はあるのかな?」