愛は惜しみなく与う⑦
私はお姉ちゃんの事を分かっているのに、なんであの時は信じてあげられなかったんだろうな。



「あたしは…信じて欲しいとか…そんなおこがましい事は言わん。鈴がそう思ってしまったんは、あたしが…悪かったんやと思う」


ほら
またお姉ちゃんは、自分が悪いと言う

本当にそう思ってるのかな

偽善者に見えてしまう私がおかしいのかな



「信じろとは言わん。でも、現実に目を向けて欲しい。あたしは……鈴がサトルを信頼し続ける限り…何もできひんねん。ごめんな、勝手に鈴も望んでくれてると思ってた」


お姉ちゃんの目から涙が止まる。
私を見るお姉ちゃんは、急に何かを決意したような顔をした。

あぁ

私はこの顔を知っている


お姉ちゃんが後継者をもう目指さないと私に伝えに来た、あの時と同じ。



「あたしはこのまま、流れに乗るよ。サトルがしたいこと、そのまま流れに身を任せるよ。鈴も見てればいい。どうなるか」


そんなお姉ちゃんの様子に我慢できなくなったのか、泉さんが動く。


サトルはまだ

起き上がる気配はない
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