愛は惜しみなく与う⑦
お姉ちゃんの手が私の頭の上に乗る


「実はな、あたし今、高校2年生やねん。鈴と同い年やで?学校は行ってる?勉強つまずいてへん?


……友達と呼べる人はできたか?」


もっと聞いてあげたらよかったな。
お姉ちゃんはそのまま優しく私の頭を撫でる。

お姉ちゃんは虐められている私を、黙って救ってくれた。何も言わずにそばにいてくれた。


「あたしも口下手でさ。あの時なんて言ったらいいか分からへんかってん。鈴に黙って裏でしようとしたけど、そうじゃなかったよな。

あたしらは、言葉が足りなかったね。ただでさえ窮屈なのに。姉妹ではなんでも言い合えたらよかったね」


「違うよ…違うの。私は嬉しかったの。お姉ちゃんが優しくしてくれることが。でも私が…捻くれてて可愛くないから、お姉ちゃんの優しさを信じれなかった。どこかで、見下されてるのだと思ってた。私が……」


言葉を続けれなかった

お姉ちゃんの細い指が、唇に触れた

それ以上言わないで

そう言ってるようだった



「あたしは、生きててくれて嬉しいよ」


どこまでも優しいね
ずっと、本物の優しさだったのにね
私にはお姉ちゃんは眩しすぎるよ

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