愛は惜しみなく与う⑦
すごいな


これが、恋か


私が昔描いていた理想の恋


それがここにある。


実際、恋をしたらしんどかった。志木を好きな時もサトルを好きな時も。こんな黒くてドロドロとしたものが恋なのかと思ってた。

でも違うんだね


お互いを思いやる気持ちがあれば、凄くキラキラしてるんだね



泉さんに言われて、向こうで倒れている志木の元へ走った。傷つけてしまった。こんなに弱った志木を見るのは初めてだった。

ごめん

そう胸に飛び込めば、大きなため息と共にふざけるなと言葉を吐いた。でも、そっと優しく頭に触れてくれた



「だから言ったでしょ。あなたごときで、杏様に張り合おうとするなって」

「うん、ごめん」

「杏様は、偽善者なんかじゃありません」

「うん……そうだね」

「杏様は素敵な人です」

「うん、知ってる」

「その杏様がずっと貴方を大切にしてるんです」

「……うん」



「誇りなさい。貴方を正しい道に戻してくれる人が近くにいる事を」


志木はあたしの顔を上にむかせる。
志木の顔を…久しぶりにちゃんと見た気がする。
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