冬の花
「木元さんは、どうして喜んでくれないんですか?」



「…実は…。
嫌なら嫌って言ってくれていいから。
あの…その…。
今日の夜、Yホテルの部屋であかりに一緒に食事でもどうか?ってその…」


「…枕って事ですか?」


木元さんは、私のその質問にゆっくりと頷いた。


いつかは、こんな話が自分にも来るんじゃないかと、覚悟はしていた。


その時は、と…。


「分かりました。
橋田さんに、行くと伝えて下さい」


「あ、うん。
でも、食事に誘っているのは、橋田さんではなくて、
鳴海さんだそうで…」


「え、鳴海さんって、
鳴海千歳が…」


今日見た、鳴海千歳の姿を思い出す。


鳴海千歳が何故…。


どう見ても、女に不自由しているとは思えない、あの容姿。


「こんな事言ったらあれだけど、
鳴海さんならイケメンだし、
悪くない話だよ。
本当にあかりの事が気に入って、純粋に仲良くなりたいだけかもしれないよね!」


そう言って、恋を応援する友人のような笑顔の木元さんに、
そうかな…、と恥ずかしそうに笑顔を返す。


だけど、心の中で思う、
そんなわけない、と。

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