いつまでも…片想い  若葉色

 ドライブの翌日からは 七海から簡単なメッセージが届くようになった。
《おはよう》や《ランチは中華にしたら量が多くてお腹いっぱい》七海の日常がかいま見えて想像する。出来るだけコメントで返信したいが、無精なために、スタンプで返す事が多い。

 会社の昼休憩で社食に行くと瑛に会った。端の席を選んで座る。

「 瑛に報告があったからちょうど良かったよ」

「 なんだ?彼女が出来たのか?」

「ああ そうだ リスが彼女だった 」

「 良かったな やっぱり運命だったろ?」

「 かもな」

「 どこかデートに行ったのか?」

「 箱根に行った 」と胸ポケットに挿している箱根細工のペンを見せた。

 最近は疲れてくるとこのペンを握るようになった。

「 箱根かー 箱根もいいな 今度誘ってみるかな」

 混んで来たので、この話題は終わりにした。


 ずっと会わないと七海不足になる事を自覚した。会いに行けば、花が咲くような笑顔に癒される。

 だから忙しい日でも七海不足になると勝手に会いに行き、泊まって早朝自宅に帰り出勤する日が増えた。

 着替えを置いて置けば楽なのに、なかなか運ぶチャンスがない。

 最近の土日は仕事も忙しくなり、休日出勤だったりフットサルやスポーツ観戦などで埋まっている。早く終われば七海に会いに行くことが出来そうだが、大抵そのままみんなで呑みに行く日々が続いた。


 11月の(なか)ばの金曜日、仕事を終え帰りが一緒になった人達で呑みに行くことになった。

 部所や年齢も異なるメンバーで、いろいろな話しが聞けて面白い。隣に座ったのは 営業課長の高橋さんで 以前はシステム部にいてお世話になった上司だった。

「 システムの仕事はどうだ?」

「 高橋課長がいた頃は 空回りばかりでしたが、今はやりがいを持つようになりました」

「 そうか、成長したようで嬉しいよ」

「 神崎は 目の付け方が違うからな、オレも刺激を受けたよ。自信を持ってけよ」

「はい!ありがとうございます」

「 プライベートはどうだ?相変わらずフットサルか?彼女は?」

「 フットサルは続けてますが、彼女も出来ました」

「 出来たのか?良かったな」

「 ほんとっすか!」

 突然前から声が聞こえた。総務部の中野だった。

「 神崎さんは社内でそこそこ人気あるんですよ!彼女が出来たならライバルが減って良かったっす」

「がっかりする女子社員いるだろうな」高橋課長も言う。

「 そんなことないですよ」

「 彼女が出来たならクリスマスとか気合い入れないとな 記念日を疎かにすると大変だぞ!」

 それからは2人に記念日の大切さを教わり、高橋の総務部の話しに変わっていった。
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