結婚はあきらめ養子を迎えたら、「お義母様大好き」と溺愛されています
 ……あれ?まって、このままアルバートは屋敷の入り口に移動してるってことよね?
 このままだと……。
 ただいまーって帰ってきちゃう。
 帰ってきたら、おかえりって抱きしめる予定なのに。
 ルイードがいたら、迎えに行けない。
「リーリア、騙されてないか?」
 は?
 突然何を言い出すの?
「騙されてるって、誰に?」
 ハンナの家族なら抱きしめるっていうことが嘘だとでもいうの?
 失礼なっ!ハンナは嘘をついたりしないわ!
「本当に、その生徒は、大丈夫なのか?」
 え?騙すってアルバートのこと?
「言っている意味が分かりませんわ」
 何を騙すというの?
 こちらから養子へと望んで、本当の家族と離れることになったのに……話を受けてくれようとしているのよ。
 身辺調査だって、セバスが念入りに行って悪い噂一つ立ってないどころか……。
 領地のために自分の身は犠牲にしてもいいと、言い続けるようないい子だし、学校の成績だって自分で勝ち取ったものだわ。
 努力家。何をどう騙すというの?
「リーリア、君は心が綺麗すぎる」
 ルイードが立ち上がり、私の手を取った。
「騙されていても、騙されていることに気が付かないのだろう。目的は、公爵の称号か。称号は兄……陛下に認められなければ得られないが……。金なら。……すでにお金を渡したりはしていないだろうな?」
 え?
 お金……。セバスから、領地の支援ということで……お金は渡すとは聞いている。
 それが、騙されているように、見えるって言うこと……?
 そして、そのためにアルバートのことを本当に養子にするときに……。陛下の承認が下りない可能性があるってこと?
 少なくとも、ルイードはアルバートを養子にすることに反対するっていうことなの?
 私が、騙されていると思うから……。
「私は、騙されてなんかいませんわ……」
 そう。騙されてない。
 ……けれど、アルバートのことを知らない人が見ればそう見えるんだ……。
 それは何故?
 アルバートが人をだませる年齢だから?もっと3歳くらいの子供だったら何も言われなかったの?
 いいえ、違う。
 お金を渡している……援助している事実がある限り、きっと言われ続けるのだろう。
 ”金のため”だと。
 ……アルバートの実家の子爵家……。金で子供を売り渡した……と、言われ続け……。
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