君に、この石言葉を
Pink Tourmaline & Diamond
『今から植物園に来てほしい』

そう付き合って二年になる彼氏の圭(けい)くんからラインが送られてきて、私は胸を弾ませる。こんな突然のデートなど、初めてだ。

「この植物園って、確か圭くんと初デートで行ったところだっけ」

デートに行く支度をしながら私は微笑む。付き合ってすぐのデートはお互い緊張してしまって、二人でたくさんの花をぼんやり見て過ごしたっけ……。懐かしい。

袖に花の刺繍が施された白いワンピースを着て、圭くんに去年の誕生日プレゼントでもらったピンクトルマリンが使われた可愛いネックレスをつける。軽くメイクをして家を出た。

植物園はお互いの家から近いところにある。二十分もしないうちに着いた。平日のためか訪れている人はあまり人は多くない。

「花音(かのん)、来てくれてありがとう」

白い清楚なシャツにジーンズという格好をした圭くんがふわりと笑う。

「ううん。誘ってくれて嬉しい」
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