君に、この石言葉を
Coral & Pearl
僕は宝石店で買った袋を片手に家へと帰る。今日はいい買い物をしたな。梓(あずさ)が気に入ってくれるといいけど。

「ただいま〜」

僕がそう言い、リビングに入ると「おかえりなさい」と僕の妻である梓が編み物の手を止めてニコリと僕の方を見て笑う。そのお腹は大きい。妊娠七ヶ月だからね。

「実はね、こんなもの買ってきたんだけどーーー」

僕が宝石店で買ったものを見せようとすると、部屋に真新しいものが置かれていることに気付く。珊瑚で作られた可愛らしいお守りだ。

「これ何?」

僕が訊ねると、梓は「可愛くて買っちゃったの。演技よさそうじゃない?」と言いまた編み物を始める。確かに、珊瑚の可愛らしいお守りは幸せを呼んでくれそうだ。

「このお守りがあるなら、これは買わなくてよかったかな〜」

僕はそう言い、手元にある袋を見つめる。宝石店の袋を見るなんてなんて梓にプロポーズした時以来だ。

「それって駅前にある宝石店の袋だよね?何を買ったの?ベビーリング?」
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