片桐くんの愛は意外にも一途でした
「教えるのは構わないよ。でも、タダで教えるわけにはいかないなぁ」


「ご飯とか奢ればいいの?」


お金がかかるけど、教えてもらう側なんだからそのくらいしないとダメだよね。


「それは俺の役目だから。……俺とデートして」


「デートって、今日したやつじゃダメなの?」


どうやら私の考えてるのと違ったらしい。


「ダメ。もっと、ちゃんとしたやつがいい。
勉強会のあとは一緒にプール行こう」


「……」


ちゃんとしたデートってなんだろう。


それと、プールか。
……どうしよう。友達と行く機会なんてなかったから、水着なんて持ってない。


さすがに、学校指定のスクール水着で市民プールに行けない。


「俺が教えれば数学の点数上がるよ?」


「……勉強を教えてほしい」


「本当は可愛いオネダリとか期待してたんだけど。それと可愛い水着、楽しみにしてるね」


可愛いオネダリって何?と頭の上でハテナマークを浮かべながら、帰る直前、連絡先を交換した。


次の休みに勉強会。と、同時にプールデート。
片桐くんの言う可愛い水着って、どんなの?


新しい水着、買いに行かなきゃ……。


これって、リア充ぽっい?なんだか青春って感じがする。


少し楽しみかもしれない……って、何言ってんの私。あくまでも勉強会。


こんなんじゃ、今から勉強に集中できない。


だけど、片桐くんと付き合い始めて、勉強以外のことを色々知ることができた。


私はありがとう、と片桐くんが今日取ってくれたぬいぐるみにそっと呟いた。
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