青空が君を笑顔にするまで

2年生の7月の初旬。


校外学習で京都へ行った。



実は、仁もハルへお土産を買っていたのだ。



小さくて可愛い狸がさつま芋を大切そうに抱えているストラップ。



ハルが買った物と同じ狸のストラップだった。



違うのはストラップの紐の色。



仁がハルに選んだのは赤い紐が付いたストラップだった。



赤い紐を選んだのはハルが女の子だからという単純な理由。



グループ行動で、お互い別々のグループだった。



あの日、時間差でお互い顔を合わさなかっただけで。



実は同じ店でお土産を買っていたのだった。



仁がとりわけこのストラップに惹かれた理由は。



狸が大切そうにさつま芋を抱えていたからだ。

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