戦略的心の奪取計画及びその結果

部屋には川村くんが住んでいる生活感を感じられるものが沢山ある。
奥には、書斎が見える。
川村くんのシャワーを浴びる音が聞こえたのを確認して、私は書斎を覗いてみた。

「………、なに、これ?」

付箋の貼ってあるたくさんの書籍。
その手前にある本はどれも、私が買ったような恋愛における心理学的戦略が綴られた本ばかり。
そしてその書斎の一番奥に貼ってあるのは、
大学時代に楽団でフルートソロを吹くワンピース姿の私。

「嘘でしょ…?」

シャワーの音が消えた。
もうすぐ彼が上がってくる。
この時私は、私が彼を落とす計画をするずっと前から、
彼の手のひらで踊らされていたことを知った。
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