君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
11

「もー、お兄ちゃん、口が悪ーい。」



よっこいしょ、と八神 架琉から退いた女の子は、そう言って口を尖らせる。



「《そんな顔するな、気色悪ぃ。》」



八神 架琉も立ち上がると、女の子に罵声を飛ばす。

目の前の女の子は、まるでお人形。


クリッとした大きな瞳に、緩いふわふわウェーブ。


なのに八神 架琉は気色悪いと罵声を飛ばすなんて…


「あの、架琉くん。お兄ちゃんって…?」



綾香が不思議そうに問う。

すると八神 架琉は心底嫌そうに溜め息を吐くと、口を開く。



「《こいつは八神 愛瑠(ヤガミ エル)。4歳下の高1で俺の……妹。》」
< 240 / 385 >

この作品をシェア

pagetop