君は無垢なフリをして​───本当は野獣。

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「《おい、綾香。》」


「んぅ?」


「《お前の母さん、まだうだうだ言ってる?》」


「んーん、今は全然。寧ろそのまま結婚しちゃえって。」



け、結婚は飛びすぎだろ。


「架琉くんの妹ちゃん、崇大くんにアタックしてるんだねぇ。」


「《あぁ、うん。そうみてぇ。…てかそれ、誰から聞いた?》」


「え?妹ちゃんだよぅ。私と崇大くんは従弟って話したら"仲良くしましょう、お姉さん"って。」



……アイツ、綾香にひれ伏してるじゃん。


現金なやつ。



「《アイツは性根の腐ったやつだから気をつけ――…》」







―――ピリリリリリ…ッ







こんな時間に、電話……?

しかも知らない番号だ。



「《はい。》」



首を捻りながらも、電話に出る。

と――…
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