君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「早く行こっ」



中野 神弥を促す女の子は、声色は可愛らしい。


だけど何故か視線は私に向けられていて。


穴が()きそうな位、睨まれていた。



「じゃあ、先輩。また。」



満面の笑みを浮かべて去っていく中野 神弥に、女の子はちょこまかと付いていく。


私は去っていく2人から視線をオムライスに戻す。


と、3分の1しか食べていなかったオムライスが殆んど減っていた。



「…綾香。」



目の前に座る従妹に声かけると、「なぁに?」と(とぼ)ける。


…口元にケチャップをつけて。



「オムライス、食べたよね。」


「え?」


「食べたね?」


「……ごめんなさい。」



綾香は素直に犯行を認めた。


この年下の従妹は少しばかり食欲も旺盛なのだ。


私はフッと短く息を吐くと、いいよ、と答えて最後の一口を口に入れた。
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