君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
「あんた、なんだかんだ言いながら俺の分の飯まで用意するなんて、すげぇお人好しだな。」



こいつ…


人の好意を何だと思っていやがる。



「…アヒル口。拗ねてんの?」


「!」



…拗ねると口を尖らせちゃう癖、まだ直ってなかったんだ…


中野 神弥に癖を指摘されて、急に恥ずかしくなる。



「はい。朝ご飯出来たから、早く食べて。」



ぶっきらぼうに言いながらテーブルの上に並べる。



「あれ?あんたは?」


「私は大事な講義があるから。もう行かなきゃいけないの。…朝はコーヒー?牛乳?」


「…牛乳。」



私は冷蔵庫から牛乳を取り出すとコップに注ぎ、テーブルに並べた。



「つか、何で冷蔵庫の中身知ってんの。」


「これからお世話になるからご飯くらいは作らなきゃって、冷蔵庫の中身を調べたからに決まってんでしょ。…行ってきます!」



私はパンを凄まじい勢いで口に入れると、慌ただしく部屋を出た。
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