君は無垢なフリをして​───本当は野獣。
神弥から聞かされた、神弥のご両親の過去は…想像以上に残酷なもので。



「親父たちに比べれば、俺のはちっせぇなって。だから…帝に会いに行ってちゃんと過去と向き合った。

そしたら帝もさ、ゴメンって。俺への好きは独りよがりで、本当の好きじゃなかったって。」



言いながら、神弥は私の手を引く。



「花菜と幸せになってって。……帝も俺も…ちゃんと前に進めるようになったんだよ、花菜。」



ギュッと抱き締められる。


「私…理事長に、最後の荷物…」



未だに現実が受け入れられていなくて。


崇大に言われたことを復唱する。



「そんなの、花菜を呼び出すための嘘だよ。……花菜を追い出したのはあのクソジジイの早とちりだし。」

「え?」


「ちょっとした事情で花菜と棲めないかもって言ったのを勘違いして、花菜とは無理だってとったらしい。」

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