この続きは、彼の部屋で

太腿をじっと眺めたあと、ウエスト辺りへ手をすべらせる。

シーツ越しに、体のラインを上へ向かって辿っていく。


「やっ、やめて下さい……」


泣きそうになりながら懇願するも、彼の動きは止まらない。

その手が胸元を掠めたとき。
ふと、彼が体をすっと離した。


「やば。帰ってきたかも」


全然焦っていない顔で、楽しげに笑う。


「じゃあね。未来くんのお姫様」


にっこりと可愛らしく手を振り、部屋を出ていく。



──数分後、彼が部屋に戻ってきた。



「もしかして。誰か来た?」

「……え」

「この匂い。真緒《まお》か……」


香水か何かの残り香を感じ取ったらしい。
不機嫌そうに唇を歪めている。


「また他の男と喋ったの?」

「……。未来君の友達だから話しても大丈夫かと思って……」

「触られた?」

「す、少しだけ」


冷たい瞳で見下ろしてきたので、私は仕方なく認める。


「茉莉恵のことを触ったあいつは、もう友達じゃないよ」
< 8 / 10 >

この作品をシェア

pagetop