冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】

建物内は広すぎて複雑すぎて
会議室だけでも幾つもあって地図がわかりづらい。


『たぶんきっとココだ』と
根拠も理由もない勘状態で一室に飛び込んでみたが
誰1人としていない。


「あー…違ったか。
 でも…すごい…」


間違ったとわかりながらも
壁一面の窓から見える景色の眺めの良さに
つい圧倒し見惚れてしまった。


すると突然、会議室の扉が開き
ゾロゾロと60代~70代くらいの男性が数名入室してきた。


『しまった!不法侵入者に思われる!』
焦ったし困ったしで事情を説明しようとしたのだが…


「会議を始めるので
 全員、席につきなさい」


物々しい雰囲気の中
1人の年配男性の合図で
無言でそれぞれに円になるように着席する他の人達の流れで
なぜかイトカも席に座ってしまった。


秘書らしき中年の女性から配られた資料。
”テナントの客層と業績、今後の経営について”

素人のイトカにも理解出来る。
この会議に出席している彼等は皆
テナントで働く店舗を経営する社長達。

それはつまり
会議の内容は機密事項。
間違いとは言え、決して居てはいけない場所。



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