冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】

「疲れか…
 仕事とは言え
 雑務やらアシスタントやら頼みすぎたせいだな。
 今後は業務内容をもう少し考えてみる。
 無理をさせてしまい、すまない」


穏やかな表情で反省の言葉を述べる社長。
あまりに人が変わったような優しさで
具合が悪かったのも忘れるほど
終始、驚きっぱなしだった。


「社長…どうしたんです?
 なんかヤケに優しいですね…」

「お前なぁ…。
 気にするのは当たり前だろ。
 社員が過労で倒れたら
 労災で俺の責任になる」

「あー…なるほど」


さすがと言うか
やはりと言うか
『そういう意味か』と妙に納得。


シバ社長がこういう人間だという事は
この1か月で把握している。
むしろこっちの方が通常通りで
今更驚く事でもない。


「そう言えば
 夕飯は食ったのか?」

「いえ?
 今日はまだ何も食べてませんけど?」

「はあ!?
 まさか一食もか!?


何気なく軽く答えたイトカだが
先程とは全く違う声の大ボリュームと
そのオーバーリアクションに
『そんなに驚く事か?』と温度差を感じる。

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