冷酷社長に甘さ優しさ糖分を。【完】

金我のターゲットとなった鮫島が
あまりの恐ろしさに顔面蒼白していたからか
社長は意識をこちらに向けようと
助けたように見受けられた。


「柴永社長が新しい秘書を手に入れたと噂を耳にしてね。
 それでどんなコなのか偵察に来ただけだよ」


犯罪を匂わせる発言だが
本人には自覚がない。
それどころか
不気味で気味の悪い笑みを浮かべ
『実物が見られて良かったよ』とご満悦。


散々堪能したかと思うと
満足したように社長室を後にした。


「何あのキモイ人」

「おい、口の利き方に気をつけろ」


イトカが本音を口にすると
すぐさま止めに入る社長。


「お前達2人
 金我様には近付くな。
 特に鮫島…」


未だ恐怖に怯える鮫島は
社長の言葉が耳に入っていない。

それをわかったからか…


「俺から離れるなよ」


真剣な眼差しで言うから
彼女は驚きながらも顔を赤くし
照れた表情で『はい…』と応える。


社長のイライラの原因は
イトカと鮫島を雇った事で
金我が動き出すかもしれないという恐れ。


社長の心配を余所に
イトカは鮫島に対して放った彼の言葉に
胸がざわついていた―――



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