ずっと一緒に 〜後輩男子の奮闘記〜


 さやかが戻ってきて、浩紀と目を合わせる。
「浩紀飲み過ぎ」
「そんなことない、まだ大丈夫」
「駄目、目が赤い」
 さやかが水を頼んだ。

 飲み会で、千波さんが水を頼んでくれるのを思い出す。
 他人に必要な時は気が付くくせに、自分が酔った時には気付かないで、ふにゃふにゃで可愛くなる。
 思い出したら、顔がニヤけていたらしい。

「隆春がそんな顔する日が来るなんてね」
 さやかが感心するように言う。
「あんたは女には興味ないって思ってた」
「興味ない訳じゃないよ」
「迷惑そうにしてたじゃない。女の子から言われてもさ」
「あー、実際迷惑な人が多かったから」
「でも良かったよ」
 さやかは、はっと息をついた。
「頑張って、千波さんつかまえなよ」
 ニカッと笑う。
 その横で、浩紀も同じように笑っている。

 2人共、記憶がない頃からの、一番の友達。
 千波さんに会ってほしい、と思った。


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