ずっと一緒に 〜後輩男子の奮闘記〜
11. 2月

隆春



 街はバレンタイン一色に染まっている。
 いろんな色や大きさのハートがあふれかえっていた。

 千波さんはチョコレートが大好きだ。
 この時期は、おいしいチョコがたくさんあるよね、とにこにこしている。
 チョコ好きだと勘違いされている俺にも、同意を求めてきた。そうですね、と答えたら、小田島さんがモニターの陰で肩を震わせているのが見えた。
 絶対に、いつか仕返ししてやる。

 バレンタインには、もちろん千波さんにチョコレートを渡すつもりだ。既に試食も済ませて予約してある、バレンタイン限定のトリュフチョコ。
 予約する時に、店員さんに「彼女さんへのプレゼントですか?」と聞かれて、顔が熱くなり、しどろもどろになっていたら「彼女さんがうらやましいですね」と言われた。
 彼女さん、に、なってくれるといいんだけど……。

 このトリュフチョコは、本命チョコとして渡すつもりだ。
 男女が逆とか、そんなのどうでもいい。
 外国では、男性が女性に愛を告白する日とされている国が多いそうだから、それに乗っかるつもりでいた。

 その前に、俺の誕生日がある。
 千波さんは、覚えててくれているだろうか。
 なんの素振りも見せないので、もしかしたら忘れている可能性もある。
 期待してて忘れられてたら立ち直れないので、期待はしないように自分に言い聞かせていた。



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