可愛い弟じゃいや。
樹城side


バカだ……

何やってんだよ、

いつもなら、

「あっ!かんちゃんはっけーん!
あれ?お友達?」

とか言って、

「お話終わったなら帰ろー?」

って、話勝手に終わらせて、帰ってたのに。




理由は分かってる。


ずっと昼休みのことが頭にあるんだ。

ぶってる余裕がなかった…。

だからって、急に変わったら怖いだけだろ!

冷静になるべきだった。

後悔しても遅い…。

頭の中でひとり会議してるみたいに色んな考えがぐるぐる回る。

すると、顔を真っ赤にしたかんちゃんが、

「なんかたっちゃんじゃないみたい…。」

つぶやくように言った。

「ごめん、怖かった…?よ、ね…。」

こうゆう時ってなんて言えばいんだろ。

嫌いになったかな。

かんちゃん、犬系男子が好きだし。

「ちがっ、怖くなかったよ?ただ…」

目を泳がせて、俺を見ない。

顔がどんどん赤くなってる。

めちゃくちゃ可愛い。

「ただ?」

嫌になった、とか?

「ただ、なんか、男の子なんだなぁって思ったし、その、好きなことかにも、さっきみたいなこと言うのかなって…なんて…。」

ん?

それって、意識してくれたってこと?











好きなことかにもって、

あんなセリフ好きな子にしか言わないんだけど。

「かんちゃん的には、どっちが好き?
いつもの僕と、さっきの僕。」

どっちがいいか分かんないからとりあえずいつも通り接する。

「えっと…、さっきのたっちゃんかな…、」

かんちゃん耳まで真っ赤。

そんなに意識してくれたのかな。

だったら嬉しいな、なんて。

「でもかんちゃん、犬系男子が好きなんじゃないの?」

かんちゃんが、タイプは犬系だって言うからぶってたんだけど…。

「確かに可愛い男の子好きだよ?
でも、なんか、好きになった人がタイプになったと言うか…。」

すきになったひと…

隙に鳴った人…

好きになった人…

ん?!

「かんちゃん?好きな人、いるの…?」


えっ

同じクラスのあの人とか?

「好きってよくわかんなくて。」

よくわかんない…、そっか、初めてだよね。

今までそんな話なかったから。

「どんな風に思ってるの?その人のこと。」

本当は聞きたくない。

でも聞きたいような。

強がってるだけかも。

「なんかね、その人のこと、最近までは可愛いなって、それしか思ってなくて。
でも、急にかっこよくなっちゃって、意識しちゃったって言うか。
なんかその人の隣って居心地いいんだ。」

そう話してくかんちゃんは、さっきやっと顔から熱がひいてったのに、また顔が真っ赤で。

愛しそうに話すから…。



















好きなんだなぁ、その人のこと。




















認めたくなかった。







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