偽婚約者の恋心~恋人のフリが本気で溺愛されています~

車に乗ってから5分ほどで、ベリーヒルズビレッジ内にある高級病院、ヒルズ総合病院に着いた。

病院には、連絡が入っていたようで、車が着くと、すでに病院の入り口前には、数人の女性看護師がスタンバイしていた。

車から降りる時、私は再び蓮さんに丁寧に抱きかかえられ、看護師が用意した車椅子に乗せられた。

看護師の一人が私が乗っている車椅子を押し、
もう一人の看護師と蓮さんが並んで歩きながら、話をしていた。そして、そのまま、看護師に、診察室まで運ばれた。

蓮さんは、診察室には入らず、車椅子を押していた看護師と私だけが診察室に入った。

診察室にいたのは、優しそうな女性医師だった。軽く挨拶されると、
看護師とその医師から名前の確認をされた。

そして、女性医師から

「大変な目に遭われたとお聞きしました。
よく頑張りましたね。
しんどいかもしれませんが、なるべく負担のかからないように検査をしますので、
あなたの身体が今どういう状態か、後遺症などの心配がないかも合わせて、しっかり調べましょう。」

私は優しい言葉にうるっときたが、涙をこらえて、

「はい。よろしくお願いします。」

と返した。
< 90 / 107 >

この作品をシェア

pagetop