双子の異世界・奇跡の花束
「ヴォルス!ヴォルス!」


「・・・・」


ミネルアが呼びかけても返事はない。

ただずっと強引に手を引かれ、手首が赤くなっていた。


「痛いよ・・ヴォルス!」


「・・・あ。すまない」



泣き出しそうな声がようやく耳に入り、ヴォルスはミネルアの手を離した。


赤くなった手首を見てヴォルスはハッとした。


「痛いか?すまない・・そんなつもりじゃ」


「ごめんなさい・・グス・・」


「ミネルア」


「急にいなくなって・・ごめんなさい」



ぼろぼろと大粒の涙がミネルアの頬を何度も零れる。



「知ってる人かと思ったの・・でも・・でも・・」



_違った・・いるはずないのに願ってしまった



朝になっても、夢じゃないんだと何度も繰り返して考えて諦めて、でもようやく見つけたと思ったのに。



「帰りたい・・お母様に逢いたいよぉ・・うぇええんっ」


「ミネルア・・」

< 29 / 288 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop