双子の異世界・奇跡の花束
「なあ」


ビクゥッ!!


後ろからレシオンの声が聞こえ、恐る恐る振り返る。


「めちゃくちゃ足早いんだな。運動神経抜群」


「あ・・え・・あ」



_うそ!?追いかけてきてくれた!!!



まさかの行動にミネルアは固まった。


「逃げなくていい」



ドキッ!


手を引かれ抱き寄せられる。


「俺は怖くないよ?」


「あ・え・・いや・・ここ怖いのではなくて・・あのっ///」


あまりの至近距離に完璧に固まってしまった。

旅団の男性意外と話した事もない。

レシオンは楽しそうに笑った。いたずらそうな八重歯が覗いている。


「プッ・・その顔凄く・・可愛い」


カアアアア///


人生で初めて抱き寄せられたのだ。皇子の驚きの行動に顔を赤くするのは当然だ。

心臓が爆発寸前だ。



_かかかか可愛いって言われた!皇子様から可愛いって!!



真っ赤になって硬直したミネルアを見て、レシオンは自分から手を離した。


「あ、急にごめんな。でも導いてくれたのかと思った。こんな偶然・・逃したくないし」

「え・・」

「ぅわ、恥ずかしいな俺。なんだコレ・・俺ヤバいやつだな。ごめんな」


レシオンも急に顔を真っ赤に染め目を逸らした。


「いきなりこんな事してすまない。でも、何かお礼がしたいんだが」


「え?」


ミネルアのハンカチを見せ、レシオンは言った。


「今夜城でパーティーがあるんだ。良かったら来る?」

「え、ええ!?一般庶民を呼んでいいんですか!?」

「いたって普通の俺の誕生パーティーなんだが」

「普通とは言いませんよ、皇子様のパーティーは」


誘われたことに単純に驚くミネルアだ。

若干困り気味のミネルアの表情をみて、レシオンは腕を組み考えた。


「パーティーは苦手か?うーん・・そうだ、本は好きか?」

「え?本ですか?」

「女性って物語とか読むの好きだろう?妹もよく読んでるし」

「好きですけど・・」

「ミネルアもそういう本好きなんだ?」


ヴォルスの顔が脳裏に浮かぶ。

本を読むなと言われたばかりだ。


「いえ・・あまり・・どちらかというと地理とか・・」


「へえ・・勉強が好きなのか」

「はい、地図とか見たり・・」


ハッ!!!


ミネルアは思いついてしまった。


「あの・・お城の書物庫には・・難しいのもありますか?歴史についてとか」


「え?もちろんあるけど」


「それが読みたいです!!」



_私の帰る手がかりがあるかも知れない!!!


< 55 / 288 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop