悪い優等生くんと、絶対秘密のお付き合い。


「っ、かわいくなんか……」


「かわいいよ。
めちゃくちゃかわいい。もう可愛すぎてどうしよ」


「っ、漣く……っ」


もう、やめて……。

引いたはずの熱がぶり返しちゃうから……っ。


髪から背中に手がすべって、ぎゅうっとされた。

ううっ、心臓の音、聞こえちゃうよ……。


「朝もどんな反応すんのかなーって思って話しかけたら、めちゃくちゃ動揺してるし?」


「うっ、」


やっぱりバレてた……!


「最近、岬との距離はやけに近いし?」


「えっ……?」


「小山が俺たちのこと知らないってわかってても、日直の仕事の手伝い、俺に言ってほしかった」


どういうこと?

その声にふっと顔をあげようとしたけれど。


ぎゅうううう。


「ぐ、ぐるじい……漣くん、」


上を向くことを許されない。


「だって岬と話すとき、めっちゃ近いじゃん。俺といるときは逃げるのに」


「うっ、それは……っ」


だって漣くん、かわいい、とか。

さっきみたいに、すき、とか。


聞いてるこっちがいたたまれないくらい、はずかしいことばかり言うんだもん……。

正直、逃げ出したいくらいに。


変にくすぐったくて、頬も熱くなって。

漣くんに顔を見られるのがいやだって思っちゃう。

「海凪。聞いてる?」

「聞いてるよ……っ」


やっと離されたと思ったら、視界に飛び込んできたのはみるからにムスッとした顔。


「漣くん、もしかして……妬いて、るの……?」


「っ、はぁ……なんでこんなときばっか鋭いかな」


「えっ、えっ……?」


「そうだよ。
前にも言ったと思うけど、好きでたまんない彼女の目に他の男が映り込むだけでも無理」


「っ……」


「笑顔とかも俺だけに見せてほしいって思うし、海凪は俺のもんだしっていつも思ってる」
< 148 / 308 >

この作品をシェア

pagetop