悪い優等生くんと、絶対秘密のお付き合い。
かわいい声、たくさん聞かせて。


「おはよ、海凪」

「……」


時刻は朝7時半。

昨日とは逆に、早めに来たのに。


「驚いた顔もとびきりかわいいな」


上履きに履き替えたタイミングで後ろから聞こえた声。


「な、なんで……っ」

「なんでだと思う?」


口角を上げて、フッと笑う。

しかもまた“ 海凪 ”って言ったし……!


「大丈夫。
だれもいない」


「っ、そうじゃなくて……っ」


もしも。

もし万が一聞かれてたらどうするのっ!



「放課後に会うだけじゃ、足りない」

「えっ」



「少しでもそばで声が聞きたい」

「っ、」


「キスしてから前以上に。どんどん欲張りになってる」


愛おしいと言わんばかりに甘く細められた瞳。


「っ……」


わたし、変だ……。


鼓動がとてつもなく速く動いている。

冷たさなんて感じられない、むしろ熱いくらいのまなざし。


この瞳に見つめられたら、胸の奥がきゅーっとなってくすぐったくて。


「こっち見てよ」

「っ、」


冷静じゃ、いられなくなる。
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