愛しきアルタイル
「バカヤロー!!」
「!?」
私が大声で叫ぶと、大和は一瞬焦り出す。
「おまえ、こんな夜中になんだよ。近所迷惑だろ。怒られるぞ」
「ちょっと言いたくなっただけ」
「はぁ?」
結婚式間近できっと頭はいっぱいなのに、美姫さんは私のことを考えてくれる余裕があって。
大和のように私のことを覚えていてくれる人がいて。
それなのに勇ちゃんは、社会人になって恋人が出来て、少しずつ私のことを忘れていく……。
私はこんなにも想っていたのに……。
「もう忘れろ」
「えっ……?」
大和の言葉に、私の気持ちがバレたのかとドキッとした。
「いろいろと。忘れろよ」
「……大和……」
満天の星空を見ながら言った大和の横顔を、私はずっと見つめた。