そして最後の嘘をつく
人生で初めて出場した
小さな地区ブロックのコンクールで
私は君と初めて出会った。

私にとっては初めてで、
速水くんにとっては
人生最後のコンクールだったあの大会。

コンクールの結果はもちろん
速水くんが金賞で、私はまだまだ
荒削りだったけれど銅賞だった。

今でも、覚えている。

速水くんが人生最後のコンクールで
弾いていた、彼の得意曲である
トルコ行進曲のジャズアレンジ。

衝撃だったんだ。

自分より年下の彼があんなにも
楽しそうにカッコいい曲を弾いている
っていうことが。

今の私の十八番と言われるのが
トルコ行進曲のジャズアレンジなのは
彼に憧れて、永遠に手の届かない
後ろ姿を追いかけて来たから。
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