昔飼ってた犬がイケメン男子高校生になって会いにきた話
ベランダからオフィスに移動する途中、偶然、早坂に会った。
一昨日のこともあってひたすら気まずいと感じていたが、早坂は葉月を見ると、「長谷川さん、月野さんのとこ行ってたの?」といつもの笑顔で言った。
「あ、はいっ。行ってました」
「そうなんだ。俺はこれから外回りだよ。お互い頑張ろうね」
葉月は早坂が元気そうに見えてホッとした。
それが顔に出ていたのか、「元気そうに見える? これでも俺、ショックだったんだからね」と少し悲しそうな顔をしながら早坂が言った。
「えっ……」
明らかに動揺した葉月を見て、「何てね。でも俺大丈夫だよ。まだ長谷川さんを諦めたわけじゃないしね。月野さんみたいな成績トップの営業マン目指して、いつか長谷川さんに振り向いてもらえるように、前向きに頑張るよ。だから気にしないでね」と早坂は言った。
あくまでも前向きな早坂を見て、付き合うか付き合わないかは別として、「はい! 私応援してます。早坂さんが営業成績トップになること」と葉月は言った。
それを聞いた早坂は笑顔になり、軽やかな足取りで去って行った。
オフィスに戻ると、朱里が葉月を待ってましたと言うような目で見ていた。
「さっき慶からラインで聞いたよ。水臭いなあ。何でもっと早く私に教えてくれなかったの?」
「何のことですか?」
「もちろん、翔くんのことに決まってるじゃん」
月野のことを口が軽いなと思いつつ、「つい昨日のことですもん。後で朱里さんにも言うつもりでしたよ」と葉月は言った。
「本当かなー? それより大丈夫なの?」
心配そうにしている朱里を横切り、葉月は自分の席に座った。
「大丈夫じゃないんですけど、連絡が来ないから手の施しようがないんですよ」
「それもそうだよね。まあ、落ち込んでても仕方ないし、そのうちまた連絡が来ると思えばいいんじゃない?」
葉月は頷いた。
しかし、朱里に言われて落ち込まないようにしようと思っても、どうしてもまた落ち込んでしまう。
そんな葉月を見かねた朱里が「よしっ、気晴らしに今日は飲みに行こう」と提案してきた。
朱里の優しさに、葉月は思わず涙ぐみ、
「朱里さん……ありがとうございます」と言った。
一時は立ち直れないかと思うほどへこんだけど、月野や朱里に励まされたお陰で、何とか今日一日を過ごすことができそうだ。
☆
一昨日のこともあってひたすら気まずいと感じていたが、早坂は葉月を見ると、「長谷川さん、月野さんのとこ行ってたの?」といつもの笑顔で言った。
「あ、はいっ。行ってました」
「そうなんだ。俺はこれから外回りだよ。お互い頑張ろうね」
葉月は早坂が元気そうに見えてホッとした。
それが顔に出ていたのか、「元気そうに見える? これでも俺、ショックだったんだからね」と少し悲しそうな顔をしながら早坂が言った。
「えっ……」
明らかに動揺した葉月を見て、「何てね。でも俺大丈夫だよ。まだ長谷川さんを諦めたわけじゃないしね。月野さんみたいな成績トップの営業マン目指して、いつか長谷川さんに振り向いてもらえるように、前向きに頑張るよ。だから気にしないでね」と早坂は言った。
あくまでも前向きな早坂を見て、付き合うか付き合わないかは別として、「はい! 私応援してます。早坂さんが営業成績トップになること」と葉月は言った。
それを聞いた早坂は笑顔になり、軽やかな足取りで去って行った。
オフィスに戻ると、朱里が葉月を待ってましたと言うような目で見ていた。
「さっき慶からラインで聞いたよ。水臭いなあ。何でもっと早く私に教えてくれなかったの?」
「何のことですか?」
「もちろん、翔くんのことに決まってるじゃん」
月野のことを口が軽いなと思いつつ、「つい昨日のことですもん。後で朱里さんにも言うつもりでしたよ」と葉月は言った。
「本当かなー? それより大丈夫なの?」
心配そうにしている朱里を横切り、葉月は自分の席に座った。
「大丈夫じゃないんですけど、連絡が来ないから手の施しようがないんですよ」
「それもそうだよね。まあ、落ち込んでても仕方ないし、そのうちまた連絡が来ると思えばいいんじゃない?」
葉月は頷いた。
しかし、朱里に言われて落ち込まないようにしようと思っても、どうしてもまた落ち込んでしまう。
そんな葉月を見かねた朱里が「よしっ、気晴らしに今日は飲みに行こう」と提案してきた。
朱里の優しさに、葉月は思わず涙ぐみ、
「朱里さん……ありがとうございます」と言った。
一時は立ち直れないかと思うほどへこんだけど、月野や朱里に励まされたお陰で、何とか今日一日を過ごすことができそうだ。
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