和菓子が繋ぐラグジュアリー。

 「千草の話を聞いていると花恋ちゃんの容姿や性格が
ウチの孫息子の蓮に好みがピッタリだったから
お見合いなんてどうかしら?と丁度話していたのよ」

「そうそう。そうしたら丁度、花恋が再就職先を探していたから
ならやよいちゃんのところにって思って私が紹介したのよね。
 偶然だったけど、やはりお見合いより恋愛がいいわよねぇ~本当に運命的に結ばれたし」

「本当よねぇ~見ていると昔の私達を見ているようだったわ」

 楽しそうに話が盛り上がるお祖母様達だった。
私と華京院様は、唖然とする。えっ……?
 それって……どういうこと?

 祖母も女将さんも全て知っている上で
私と華京院様を出会わせたの?
 いや。それよりもお見合いの話もあったって……。

 状況がイマイチ分からず困惑してしまう。
それに孫息子って……えぇっ!?

「ちょっと待って下さい……それってつまり
華京院様は、女将さんのお孫さんってことですか?」

そうなると華京院様は、“如月”の後継者でもあるってことになる。
 そうなると……女将さんは、華京院財閥のさらに上の名誉会長夫人ってこと!?
 さらに凄い真実が明らかになってしまった。
女将さんは、それを聞いてニコッと微笑んだ。

「事実上そうなるわね。でも私は、
夫と結婚を受け入れる条件で如月の後継者でもあるから
 女将としてやり続けることを承諾してもらったの。
だから名誉会長夫人でもなく女将のままよ!」

得意気に語る女将さんを見て驚いた。
 だが何だかカッコいいと思った。
自分の仕事に自信と誇りを持っているのだと感じたからだ。

それは、まるで私が夢まで見た光景みたいだった。
 私も女将さんみたいに自分自身に自信と誇りを持ちたいと思っていたし
和菓子を作りたいし、跡継ぎとして悩んだりした時期もあったから……。

 あの時は、祖母が背中を押してくれた。
自分の行きたい道に進みなさいと……言ってくれた。

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