和菓子が繋ぐラグジュアリー。

「何故謝る?俺は、驚いたが良かったと思っている。
これで俺達の結婚に反対するものは居なくなった。
 それに……一目見た時からお祖母様みたいな
気品を持ち合わせた女性を見て驚いたが、今なら
その理由がハッキリした」

しかし華京院様は、逆にスッキリした表情になっていた。
 モヤモヤした理由が分かりハッキリとして
清々しい表情になっている。
そういえば……気になることが。

「そういえば女将さんのお孫さんにも驚きましたが
あの……私が好みのタイプって言ってましたが
もしかして着物を着た方がタイプなんですか?」

私と女将さんの共通点と言ったら着物や和菓子ぐらいだ。
 そういえば華京院様に会う時は、いつも
着物にしろと言っていた。着物を着た女性がタイプなのだろうか?

 すると私をギロッと睨んできた。
思わずビクッと肩が震えた。

「何を言うか。着物が好きだと言っても
ただ着飾っている女など興味はない。
 お祖母様のように気品と慣れ親しんだ美しさがないとダメだ!」

 凄く怒ったように力説してきた。
えっ……?

「お祖母様みたいにですか……?」

「そうだ。近寄ってくる女は、ただ着物を着飾ることしか考えておらず
媚びを売るくせに品性に欠けていた。
 それに比べて花恋は、お祖母様のように
着物に慣れ親しみ気品と美しさを持っている。
 一目惚れだなんて言うのも恥ずかしいから
なるべく触れないように気をつけていたが……」

 華京院様は、そう言うとソファーから立ち上がり
私を強く抱き締めてきた。
急に抱き締められてドキッと心臓が高鳴った。

 じゃあ私のことは、ただ近くに居合わせたから
恋人のふりをさせた訳じゃないんだ?
 私は、てっきりそうだと思っていたので落ち込んだりしたのに……。

「なら、華京院様もそう言って下されば良かったのに……」

「だから恥ずかしくて言えるかよ……」

 そう言って口を塞がれてしまった。
お互いのギャップに驚きつつも幸せを噛み締める。
 しかし。解決したと思った婚約者話は、
また新たな波乱の展開を呼ぶことになるとは、この時まで
すっかり忘れていた……。

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