医師の妻としての覚悟 ~寂しさと過ちを乗り越えて…

朝食が 始まる時間を待って

私は 圭介を起こした。


「圭介 起きて。早めに支度して 空港に行こう。」

「涼子。もう支度したの?」

「飛行機 全便欠航にならなければ なんとか 帰れるでしょう。」

「台風 そんなに酷いの?」

「うん。かなり深刻な状況だよ。」


やっと 起き上がった圭介は 

テレビの台風情報を 真剣に見つめる。


「ヤバいね…俺 シャワー浴びてくる。」

圭介は やっと状況を理解したようで。

いつになく真剣な顔で バスルームに消えた。


「ねぇ 圭介。旅行のこと 奥さんに 何て言ったの?」

シャワーを 浴び終えた圭介は 

乱暴に 荷物を バッグに 放り込む。


「んっ?地方の撮影って言った。」

「どこって 言ったの?」

「金沢。ちょうど 瑠美のロケが あったから。」

「金沢じゃ 台風の影響は ないよね…」

「しかも ロケバスで行くって 言ったから。」


もし 飛行機が飛ばなかったら…


私は 必死で 奥さんへの言い訳を 考えていた。


「とにかく 食事してこよう。」

「そうね。」


圭介も 黙りがちだったのは

多分 言い訳を 考えていたから。


お互い 家庭のことは 

あまり 話さなかったけど。


圭介と奥さんは 普段 どんな関係なんだろ。






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