政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

「菜摘は亡くなった純子(じゅんこ)さんに似て色白でべっぴんさんだし」


純子は菜摘と大地の母親だ。菜摘が中学生のときに父親と一緒に交通事故で亡くなっている。


「それは、おじいちゃんの欲目」
「そんなことはないぞ。イチゴを食べてるから美人なんだって近所でも評判なのを知らないのか」
「やだ、なにそれ」


クスクス笑う。


「ただのお世辞なんだから、真に受けちゃダメだよ」
「いいや、お世辞なもんか」


和夫は頑として譲る気はないようだ。


「いつだったか、雑誌でイチゴ農園を特集した記事に菜摘が掲載されただろう?」


一年ちょっと前だろうか。都心部にあるイチゴ農園の特集が組まれた農業の専門誌だ。若い女性がイチゴづくりに携わっているのは珍しいからと、ライターにお願いされて仕事風景を撮影されたことがあった。
いくら農業の専門誌とはいえ多くの人が目にするもののため、菜摘は渋々応じたのだけれど。
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